論理的思考とは?大人にも重要なロジカルシンキングを幼少期から身につける方法

子どもだけでなく大人にとっても欠かせないスキルの論理的思考。2020年度から小学校の授業で必修化されたプログラミング教育でも、論理的思考力が求められることが明記されています。いつの時代にも重要なロジカルシンキングを幼少の頃から身につけられる方法を紹介します。

目次

  1. 論理的思考(ロジカルシンキング)とは?
  2. 論理的思考(ロジカルシンキング)を身につけるメリット
  3. 論理的思考(ロジカルシンキング)は学校の授業でも重視される
  4. 論理的思考(ロジカルシンキング)の代表的な手法
  5. 子どもにもできる論理的思考能力を高めるトレーニング方法
  6. 子どもの論理的思考能力や言語感覚を高めたい親におすすめの習い事
  7. まとめ

論理的思考(ロジカルシンキング)とは?

論理的思考能力(ロジカルシンキング)とは、試行錯誤で体験したことや複雑に絡み合っているように見える問題を、きちんと整理してまとめて結論を導き出したり、筋道を立ててわかりやすく他人に説明したりする力のことをいいます。論理的思考力が身につくと、一度学んだことを次から応用しやすくなります。

 

論理的思考(ロジカルシンキング)を身につけるメリット

論理的思考能力(ロジカルシンキング)を身につけると下記のようなメリットがあります。

①問題解決能力が向上する

問題解決能力とは、起こっている問題を見つけてその原因を分析し、対応可能な解決案を考え、解決する能力のことです。ものごとを整理してとらえる論理的思考力が身につくと、問題解決能力が向上し、日常のあらゆる場面で対応できる力が育ちます。

②説得力が向上する

何を話しているのかがわかりにくなるのは、聞き手の求めている内容と話していることがうまく噛み合っていない場合や、事実が何を示しているのかがうまく伝わらない場合、主張と根拠、事実がうまくつながっていない場合などが考えられます。

相手に「なるほど」と納得してもらうためには、相手の聞きたいことを理解し、事実を多角的な視点で捉え、明確な根拠を元にした改善策を提案するための、論理的思考力が必要でしょう。

東洋経済オンラインのコラム「頭のいい子はみな「直感力」を鍛えている」の中で、教育デザインラボ代表理事、教育評論家・石田勝紀さんは、「論理的であれば、説明が体系立てられ、話がわかりやすくなります。ですからプレゼンテーションや論文などのアウトプットでは、論理的であることが重要です」と話しています。

③コミュニケーション能力が向上する

相手との意思疎通をスムーズに行えるコミュニケーション能力は、大きく分けて「聴く力」と「伝える力」からなり、聴く力は、相手の話の真意を正確にくみ取り理解する力、伝える力は、自分の言いたいことを相手に正確に理解してもらう力などといわれます。論理的思考力が身につくと、相手がなぜその言葉を発したのかを理解し、自分がどんな言葉で相手に意思を伝えるべきか、などを思考する能力が高まるでしょう。

④提案力が向上する

事実をもとに根拠を示し、必要な解決策を体系的に整理して説明できれば、主張や提案を受け入れてもらえる確率はあがるでしょう。そのために必要なのは、物事を論理的に理解し、提案を論理的に構成できる思考力といえます。

論理的思考(ロジカルシンキング)は学校の授業でも重視される

文科省資料「新学習指導要領のポイント」(情報活用能力の育成・ICT活用)には、2020年度から小学校で新たにプログラミング的思考の育成が加わったと記載されており、その中で、プログラミング的思考とは下記のように定義されています。

「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、 一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、 記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、 といったことを論理的に考えていく力」

プログラミングを体験しながらコンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身につけるための学習活動を計画的に実施することが明記されており、小学校の段階で論理的思考力や創造性、問題解決能力を育むことが重要視されています。論理的思考能力は、今後ますます子どもたちに求められるスキルといえるでしょう。

論理的思考(ロジカルシンキング)の代表的な手法

ここでは、一般的に紹介されることの多い代表的な論法を3つ解説します。

①演繹法

演繹法は、論理をつなげて結論を導き出す考え方です。「Aだから、Bである」という論理を積み重ねて結論付けていきます。以下のアリストテレスの3段論法が有名です。

大前提:すべての人間は死すべきものである。
小前提:ソクラテスは人間である。
結論:ソクラテスは死すべきものである。

大前提と小前提から結論を引き出す手法で、よく使われますが、論理が長くなったり、論理の飛躍が起きたりしないよう、注意が必要です。

 

②帰納法

帰納法は、多くの事実から共通点をまとめて結論を引き出す考え方です。科学の実験のような考え方に近く、統計分析にも使われている手法です。

例)
アジアの経済が回復している
オセアニアの経済が回復している
アメリカの経済が回復している
その他〇〇の経済が回復している…

結論:世界の景気が回復している

帰納法は、多くの事実やデータをもとに論理展開するため、客観性が高い結論を導き出すことができます。相手に納得してもらうことが重要なため、集めたデータの数が少ないと説得力に欠けることもあります。

 

③弁証法

弁証法は、一つの物事を対立、または矛盾する2つの事柄を合わせることによって結論を導く考え方のことです。弁証法の内容は多岐にわたっていますが、哲学者のヘーゲルの弁証法は、「ある主張とそれに矛盾する主張を合わせて、どちらの主張も切り捨てずに、より高いレベルの結論へと導くこと」を前提とします。

例)
子どもは野菜を食べたくない。
親は好き嫌いをせず食べてほしい。

結論:野菜嫌いの子どもが食べられる野菜スープを作る。

弁証法は、どちらかが折り合いをつけて妥協したりすることではなく、双方の意見を合わせて納得のいく結論を導き出す思考法です。新商品など、新しいものを生み出すときによく用いられます。

 

子どもにもできる論理的思考能力を高めるトレーニング方法

論理的思考能力は、家庭で鍛えるにはどうすればよいでしょうか。子どもでも簡単にできる論理的思考能力を高めるトレーニング方法を3つ紹介します。

①会話の中で常に5W1Hを意識させる

株式会社スタディーハッカーのサイト「こどもまなび☆ラボ」に掲載された開成中学・高校の柳沢幸雄校長へのインタビュー記事によると、親子の会話では、子どもがしゃべる時間を2としたときに、親がしゃべる時間を1にすることを意識し、子どもの話が一段落したら「5W1H」の疑問詞を使った質問をひとつずつしてみると良いといわれています。

例えば、学校から帰ってきた子どもが「今日は面白かった!」といったなら、「なにをやったの?」「誰と?」「どこで?」というふうに、一つひとつ聞いてあげることを繰り返すうち、子どもは自然と「5W1H」についてきちんと整理したうえで話をすることができるようになっていきます。

この力は、論理的表現力そのもので、文章のなかに「5W1H」の要素がどのように詰まっているかを理解することになり、読解力にもつながるといわれています。

 

②学習玩具を使う

子どもが楽しめる学習(知育)玩具を使う方法もあります。ここではプロ棋士の藤井聡太さんが幼少期に遊んでいた玩具をひとつ紹介します。

日本将棋連盟によると、藤井聡太さんが幼少期に遊んでいたのは、「キュボロ」(CUBORO)」という立体パズル。積み木を組み立て、ビー玉が転がる道を作るおもちゃで、空間認識力や論理的思考力、集中力などが育まれます。藤井聡太さんは、3歳ごろには立体迷路を完成させていたとか。

また、将棋や囲碁、チェスなどのゲーム自体も、先を見通す力や論理的思考能力を養うことができるといわれています。

 

③「辞書などを使い自分で調べる」習慣を身につける

子どもは疑問を持つと「なんで?」「どうして?」と大人に質問してくることがあります。このとき、すぐに答えを教えてあげるのではなく、一緒に辞書を引いて調べたり、子どもが自分の力で答えに到達する方法を導いてあげることも大切でしょう。

中部大学の深谷圭助教授が開発した「辞書引き」学習法は、子どもが「知らないことを知りたい」という欲求を自分の力で満たせるように成長させることを重要視しています。

新しい言葉と出会うことによって、子どもの向学心、好奇心に役立ったり、正しく豊かな語彙力が身につき、親子のコミュニケーションも増えるそうです。子どもの頃から論理的思考力を支える語彙力を養うことで自分の考えや意見をわかりやすく言語化できるようになるでしょう。

いつでも辞書をひける環境を整えたり、ふせんを貼って調べた言葉の数を数えられるようにすることなどでモチベーションアップに挑戦してみてもよいかもしれません。

 

子どもの論理的思考能力や言語感覚を高めたいときにおすすめの習い事

子どもの論理的思考能力や言語感覚を高める習い事を5つ紹介します。体験レッスンなどに参加してみるのもおすすめです。

①スピーチで言語感覚と思考能力を磨く

「KEEʼSこどもスピーチスクール」は、話し方のプロから学べるスピーチスクールです。企業のトップリーダーたちも学ぶKEE’Sの話し方メソッドを、子ども向けにアレンジして指導します。

講師が現役アナウンサーであることがスクールの大きな魅力。発声や腹式呼吸などの基礎をしっかり学ぶことができます。基本的なスキルを身につけると、人前で自信を持って話せるようになったり、さまざまな場面でのコミュニケーション力が向上します。

レッスンでは、わかりやすい話し方や思考法をロジックツリーを使ってレクチャーし、伝えたいことを論理的に効率的に話す技術を学ぶことができます。「宇宙」などテーマを与え、子どもたちが自分で調べて発表することも。レッスンでは友だちの発表を聞いてよかったところを伝え合うなど、聞く力や協調性も育みます。

プレゼンの準備やスピーチを通して自分の興味のある分野をコツコツ調べ、自分の考えを整理し、筋道を立てて話す「ロジカル」な力も身につきます。スピーチのスキルは、年齢が上がるごとに重要性が増し、大人になっても役に立つことでしょう。オンラインでの受講も可能です。

・KEEʼSこどもスピーチスクール
対象:年少~小学生
コース&料金:幼児スピーチクラス、小学校低学年クラス、小学校高学年クラス、マンツーマンレッスン、e-ラーニング+動画添削コースなど|1万3200円/月~
※詳しくは教室にお問い合わせください

②演劇表現を通して言語感覚や思考力を磨く

「ひなたアクターズスクール」は、3歳から高校3年生までを対象とした、本格的な演劇スクール。プロの俳優や歌手、ダンサー、演出家が初歩から指導します。

カリキュラムは、アクション、演技、コミュニケーション、英語、ダンス、モデル、ボーカルと多彩で、芸能界で通じる技術の習得はもちろん、表現力やコミュニケーション力を身につけることができるのが魅力です。

円滑なコミュニケーションには、論理的思考力が必要です。演技では、他者になりきり、どんな意思を、どんな行動や発言で表現するべきか、思考することが求められるでしょう。

「ひなたアクターズスクール」は2017年に俳優のひなたなほこさんが東京都葛飾区亀有で設立。劇団や専門学校などで学んだことを子ども向けに落とし込み、独自のメソッドを開発しました。スクール運営にあたり、初心者の子どもでも無理なくステップアップできるカリキュラムを提供しています。

イベント出演や発表の機会を多く設けているため、豊かな日本語・英語の感性が磨かれるほか、毎回レッスンの終わりに振り返りの「リフレクションシート」を書き、自分が何を学び、何を感じたか、何が課題かを記録します。自分の考えを言語化する習慣を持つことで、内省力や文章力の土台も築けるでしょう。

・ひなたアクターズスクール
住所:東京都葛飾区亀有4-38-6 防災コミュニティスペースえまいま
対象:3歳~高校生
コース&料金:プレスクールコース、表現力コース、オンラインコース、芸能コースなど|入会金30000円、月謝は教室に要確認
※詳しくは教室にお問い合わせください

③「知育教室」で言葉で思考する力を身につける

幼児期から知能育成に取り組む「知育教室」のなかでも、言葉の概念を重要視して論理的思考力を育む教室があります。

「キッズアカデミー」では、記憶カードを使ったウォーミングアップの後に、知能を働かせるといわれている3つの領域、「概念(主に言葉)」「記号(数字や数学記号・音符など)」「図形(位置・方向・大きさで表されるもの自体の形)」についてじっくり学びます。

知能を構成する24の知能因子をバランスよく刺激するプログラムに取り組むことで子どもが自ら考える力、やり抜く力も育まれるでしょう。

ただ計算を速くしたり、大量のものを短期的に覚えることではなく、論理的思考能力のほか、記憶したものを長く保持し、異なるパターンの問題も解ける応用力や柔軟性も養っていきます。

・キッズアカデミー
対象:3歳~7歳
コース&料金:1万5950円/月
※詳しくは教室にお問い合わせください

④ロボットの組み立てや操作で思考力を磨く

ロボット・プログラミング学習では、ロボットを組み立て、操作していくなかで、論理的思考力を磨きます。おもちゃを触っているようにプログラミングを楽しめるほか、プログラミング言語の構成力を身につけることから言語感覚が磨かれることも期待できるでしょう。

阪急阪神と読売テレビが共同運営しているロボットプログラミング教室「プログラボ」では、授業ではまずテキストやスライドを使ってその日の課題を説明し、その後にロボットを組み立て、プログラムを組んでいきます。

教材はパソコンやタブレットを1人1台利用することが可能。主に「教育版レゴ®マインドストーム®EV3」を使用し、初めての子どもでも学習しやすい「ビジュアルプログラミング言語」を使って操作します。

時間をかけて制作したロボットが思い通りに動かない時でも、子どもたちは試行錯誤しながら解決する手段を考え、最後まで粘り強くやり抜く力を身につけます。

自由制作では、画像認識でマスクをしていない人にマスクを差し出す「マスクロボット」を制作した生徒もいたとか。自ら社会課題を見つけて形にする力が育まれ、論理的思考力や課題発見・解決する力、探究心も養えるでしょう。

・プログラボ
対象:年中~中学生
コース&料金:プレビギナー(年中~小学1年生)、プレスタンダード(小学2~中学生)など|1万780円/月~
※詳しくは教室にお問い合わせください

⑤プログラミングの企画と試行錯誤で思考力を磨く

「スタープログラミングスクール」は、総合的なICT(情報通信技術)教育を実践しているプログラミングスクールです。

レッスンで子どもたちは映像とテキストで知識を習得した後、自分の作品イメージの企画書づくりを行います。トライアンドエラーを繰り返しながら実際に作品を作り、最後に自分の言葉で作品について説明を行います。この流れを何度も繰り返すことで、プログラミングの知識や技術のほか、物事を筋道立てて人に説明できるロジカルの力や創造力、やり抜く力が育まれます。

プログラミングに限定しない学習範囲の広さもスクールの特徴の1つ。タイピングやパソコン操作、インターネットでの情報収集や情報リテラシーなども含めた、総合的なICT教育が受けられます。教室で使っているPCアカウントは自宅でも利用可能なので、レッスン終了後も課題の続きに取り組めるのもうれしいポイントです。

プログラミングの習得はもちろん、小数や角度、多角形など、算数の学習単元に何度も触れるため、自然と理系科目にも強くなるそうです。1年間の学習成果を発表する「SPSアワード」やプチ発表会など、人前で話す機会も用意されており、プレゼン力も身につくことでしょう。

・スタープログラミングスクール
対象:小学1年生~中学生
コース&料金:タブレットプログラミングコース(小1~4)、Scratchプログラミングコース(小3~中3)、Webプログラミングコース(小5~中3)など|7700円/月~
※詳しくは教室にお問い合わせください

まとめ

論理的思考は、一朝一夕に身につくものではなく、長い時間をかけて育てていくものです。幼少期から鍛えていくことで、子どもが自分で考える力が身につき、学力向上も期待できます。ここで紹介したトレーニング方法を親子でいっしょに実践したり、論理的思考能力を高める習い事に通うのもおすすめです。子どもが楽しめそうな教室があれば、ぜひ無料体験などに申し込み、教室の雰囲気を確かめてみましょう。

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